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True love for great sound unites us.
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クールで美しいフォルムのボディに暖かなオレンジ色に輝く真空管が印象的なLCT940。フラッグシップであるLCT940にはLewittの新しいアイディアと技術が具現化された今のレコーディング環境のためのマイク。国内外で着実にユーザーを拡大しているLCT940がKohhyこと小比類巻かほるさんのハイレゾ音源としてリリース予定の作品のレコーディングに導入された。1985年にデビューするや、抜群の歌唱力で女性R&Bアーティストのパイオニア的存在として知られるようになった小比類巻かほるさん、そして本作品でエンジニアを務める江夏正晃さんにLCT940のパフォーマンスを伺った。
MI:第一印象はいかがでしたか?
小比類巻かほる(以下:小比類巻):「うっとり。。。」あの灯をみれば(笑)。 普段はU47を使っているんです。ちょっと似ている印象かな。
MI:それはレコーディング中に感じたものでしょうか?それともプレイバック中?
小比類巻:歌っている時です。倍音が伸びているというか、上(高域)が聞こえるのです。
江夏正晃(以下:江夏正晃):それは、ヴィンテージ・マイクに皆さんが求める「ダイナミクスの大きな部分でのサチュレーション、反応」が素晴らしいところです。小さな部分はあくまでもクリアで、上がっていた時の丸まり方が良いですね。
MI:マイクによってパフォーマンスも変わります?
小比類巻:変わります。「うっとり感」は大事なんです。レコーディングのマイク選びの時、用意されたU47のコンディションが良くなかったりすると、「あー今日は、1日が終わっちゃう」とか思ったりします。それぐらい、マイクのコンディション、音って重要。
MI:録っている江夏さんにもパフォーマンスの違いは感じられるものですか?
江夏正晃:すぐに解ります。マイクが良いとシンガーが楽しくなっているので、パフォーマンスが全然良いです。だから、キャプチャーしやすいし、録りがすぐに終わりますよ。
MI:今回の作品とセッティングについて教えていただけますか?
小比類巻:この作品は初のハイレゾ音源として今春リリース予定です。内容はまだ詳しくは言えませんけど、私とキーボードの大島俊一さん、そして江夏さんの3人で「今のハイレゾの音での新しい一面」を古くからのファンにも楽しんでもらえる作品となるよう制作してます。
江夏正晃:DAWはNuendoで、96kHzで録っています。セッティングはシンプル。ブースに置いたパワーサプライ(兼コントロール・パネル)からダイレクトにオーディオ・インターフェイス(RME Fireface)に入力、アウトボード類は一切使用せず、ダイレクトにレコーディングしました。LCT940はノイズが少ない。。というか無い。ハイレゾ・レコーディングにお薦めですね。今回は100% 真空管で使用しましたが、ブレンドのセッティングなどは小比類巻さんにお任せでした。
小比類巻:ブースで真空管とFETのブレンドを調整しながら、キャラクター、サウンドの変化をチェックしてみて、結果、今回は100% 真空管でした。(いつも使っていて基準となっている)U47はコンディションの良い個体を持つことも、管理、維持もたいへんなんですよ。これはとても良いマイクですね。FETはFETらしいというかパリッとしています。声が細い方やトランペットなんかはFETをブレンドして使うと良さそう。
江夏正晃:LCT940の真空管はレベルが上っていたときのサチュレーション、歪み感が素晴らしい。上げていっても細くならない。現代的な仕上げを狙う時はクリアなFETが使えますね。マイクについては自分の定石があって、そこから離れることは考えていなかったのですが、Lewitt良いですね。細かいニュアンスが良く表現されていて質感が良くみえます。
MI:今日はありがとうございます。作品の完成を楽しみにしています。
小比類巻:今春のリリースに向けて制作を進めていきます。この後の歌入れで、更に色々と使ってみます。
収録: 2016年2月
1985年にデビュー後、現在まで13枚のアルバム・33枚のシングルをリリース。海外では「プリンス」や「モーリス・ホワイト」等とのレコーディングを経験し、自らもアーティストの作品提供、プロデュース等、幅広い活動をしている。また、アーチストとしての活動前よりレコーディング・スタジオでアシスタントを務めるなどエンジニアのバックグランドも持つ。近年はムービー・クリエイターとしても活躍中。
音楽家、DJ、プロデューサー。エレクトロユニット SAOLILITH 2 FILTER KYODA XILICONのメンバーとして活動する一方、Charisma.comやサカモト教授などのプロデュース、エンジニアなども手掛ける。DJ TAKASHIRO名義ではBLAZE、ULTRANATE、UrbanSoul、元気ロケッツなどのリミックスのプログラミングを担当。また株式会社マリモレコーズの代表として、CM他、多方面の音楽制作も行う。著書に「DAW自宅マスタリング」(リットーミュージック出版)などがあり、関西学院大学の非常勤講師も勤める。