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True love for great sound unites us.
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ビヨンセのファースト・キーボードとしてツアー参加し、さらに、アレンジ、プロデュースにも活躍する日本人ミュージシャン: RIE TSUJI。グローバルに活動する彼女が制作拠点とするNY BrooklynのRIRO MUZIKはLewittマイクを採用。日々のレコーディングにLewitt マイクが使用されている。そこで、ビヨンセのプロダクション・リハーサル、アレンジなどで多忙な中、海外での活躍の様子、そして、Lewittマイクについてお話を伺った。
Media Integration(以降 MI):ビヨンセのツアーへの参加にとどまらず、アレンジャー、スタジオ・オーナーとしてUSを中心に幅広い活躍を見せています。これまでの経緯を教えていただけますか?
RIE TSUJI (以降 RT):幼少の頃よりピアノを始め、ヤマハを通じて6歳の時に作曲を始めました。佐賀北高校芸術家コース/音楽科、東京音楽大学器楽科卒業まで日本で学び、その後、アメリカのバークリー音楽大学に留学しました。バークリー卒業後に参加したエリック・ベネットのツアーがプロとしての本格的なキャリアのスタートで、そのツアー中にビヨンセのオーディションの知らせを聞き、応募しました。そのオーディションでは全米5都市によって開催され、私はNYのオーディションに参加し、合格、その後ファイナルまで残り、バンドの一員となり、それ以来、ファーストキーボーディスト/アシスタント・ミュージカル・アレンジャーとして在籍しています。今では、その時のオーディションに受かったメンバーの中で唯一のオリジナル・メンバーとなりました。
MI:やはりトップ・アーティストのチームは厳しいですね。ビヨンセとの仕事から得たもの、学んだことは何でしょう?
RT:ツアー生活の中で、人との関わり方を大きく学びました。やはり一度ツアーに出ると、逃げ場のない大きな海へ航海に出た船の中にいるようなもの。バンドとは、寝食供にし、ツアーバスで長い距離を共に移動し、とにかく一緒にいる時間が長いのです。そんな中で人によっては波長が合う合わないがあり、また気分もその日によってコロコロ変わるわけです。でも、そんな状況だからこそ、人との関わり方を学ぶ事が出来ました。人の悪いところにフォーカスするのではなく、いいところを見るようにする。どんな人に対してもポジティブに関われる心の基盤ができた事は、これから人生を生きてく上で、とても大事な事を学ばせてもらったと思っています。
MI:仕事の種類にかかわらす、大切なことですね。
RT:音楽に関して言えば、とにかく、どんな状況にでも対応出来る応用力が備わった事です。例えば、ツアーで行ったアフリカのナイジェリアでは、突然彼らの国歌をビヨンセと二人で演奏する事になったものの、ショーの前にその音源を聴く事が出来ないだけでなく、楽譜もない状態でした。もちろんナイジェリアの国歌なんて過去に聞いた事もな く、ビヨンセがメロディーを歌うのに合わせて自分で推測しながらコードをつけていく。そんな状況でした。もちろん何万人と入る大きな会場です。国歌なんてリハーモナイズして適当にコードを付けていい、そんなジャンルではないですよね。(笑) 正解を弾かなくてはいけないわけです。成功したから良かったし、今では笑い話だけれど、その時はさすがにどうしたものかと思いました。(笑)
MI:それは想像を絶します。暗中模索にしても・・・。そういった特別な体験が実力を積み上げていくのですね。
RT:ちょっとしたアクシデントの為に、自分のソロを引っ張って伸ばさなくてはいけない事態がありました。 (結構長い間)その時も、イヤーモニターからは、『もっと引っ張って。まだまだ』とか色んな声が聞こえるのです。ただ、事態がオッケーになればすぐ次の曲に行けるように、あまり戻ってこれないくらい自由にインプロビゼーション(即興演奏)すればいいというものでもなく、制限はあるわけです。しかもビデオには自分の顔がアップで映ってるという事もあり、そういうアクシデントを表情には全く出せないので、ニコニコしながら、耳ではそのピリピリしたアナウンスを聞き、演奏にも集中して。。。と結構な神経を使う場面も何度となくありましたね。これが、自分のジャズのショーとかだったら、もっと自由にインプロ出来ます。ただ、こういう大きなプロダクションのショーになると、どこまでも自由にというわけにはいきません。ビジュアルも大切なので演奏以外にも表情一つにも気をつけ、花火があがり、ビデオが流れ、ライトもあり、ステージが動き、全てがシンクロしてなくてはいけません。一つの小さなミスが大きな失敗につながります。そんな中でのアクシデントは本当に集中力が求められるし、でもその度に自分が成長出来るのが分かります。
MI:ご自身が共同オーナーでもあるスタジオ:RIRO MUZIKについてお聞かせください。
RT:一緒に共同オーナーを務める夫はベーシストであると同時にエンジニアでもあり、NYに移る前、ボストンにいたころより、ホームスタジオを持っていました。当時はそれこそアパートの一室、日本でいう所のワンルームマンションの一角(笑)から始めました。NYに移ってからは、アパートの一部屋にブースを入れ、その部屋を完全なスタジオにし、機材も徐々にアップグレードしていきました。そしてこの場所 を見つけ、今のビジネスを始める事になりました。なので、私達にすると突然というよりは自然の流れといった感じです。沢山の素敵なプロジェクトに関わる事も出来て、やって良かったと心より思います。機材に関してはもっともっとアップグレードして更にパワーアップしていきたいですね。
MI:スタジオの運営や構成についてお知らせください。
RT:夫がエンジニアとしてオペレートするケースがほとんどで、プロデュース、アレンジ、ミキシング等をしています。最近では、日本とヨーロッパで公開された、アニメの血界戦線での劇中曲、2曲のアレンジと共同プロデュース、フジテレビのドラマ、『かもしれない女優たち』のエンディングテーマも共同プロデュースしました。これからもアメリカだけではなくて日本への制作も精力的にやっていきたいなと思っています。
コントロールルームと、プロダクションルーム、ライブルームやアイソブースがあります。コンソールにはSSL-AWS948を入れ、Pro Toos HDXシステムがコアとなっています。加えて、API、Daking、AEA、Universal Audio、Neve、GMLなどの各種プリアンプ、Neumann、Royer、Coles、AKG、Sennheiser、Shureなど充実したマイク・コレクションには、もちろん、Lewittマイクもあります。
MI:楽器も充実していますね。ミュージシャンが運営しているスタジオだけあって、音楽がクリエイトされる「アトリエ」といった印象です。
RT:はい。ピアノにSteinway B、オルガンは Hammond BC 、Rhodes Mk 2 Suitcase, 数々のギター、ベース、キーボード、アナログシンセ etc…アンプコレクションも充実しています。
MI:RIRO MUZIKでご使用のLewitt マイクのモデルと主な用途は?
RT:LCT940、LCT640 Stereo、LCT540です。ボーカル、バックグラウンド・ボーカル、アコースティック・ギター、ピアノ、ドラム・オーバーヘッド、ギターアンプ、ルームマイク等です。Riro Muzik から発信したプロジェクトには、必ず少なくとも一つはLewittのマイクを使っています。YouTube で公開中のドラム会社:Canoupusのアーティスト・プロモビデオもうちで録ったのですが、そのプロジェクトでもLewittを使用しています。
MI:実際にスタジオで使用していて感じた印象はいかがでしょう?
RT:便利に感じるのは、とても多くの目的に使用できるところです。もし何のマイクを使えば分からない場合は、「Lewittをセッティングしてみては!」とアドバイスしたいくらい何にでも使えます。
MI:音質についてはいかがですか?
RT:とてもクリーンなのに奥行きもちゃんとある。ノイズも少ないですね。とても静か(低ノイズ)なので、アンビエンス用のマイクとしても効果的に使用できます。それに、高い音圧レベルにも対応出来るのでクローズ・マイキングにも適しています。それと、相性の良いプリアンプを通した時にEQの必要性がほとんど無い。それでいて、EQの掛かり具合が良い所も気に入っています。
MI:Lewittを選択した理由と、おすすめポイントをお願いします。
RT:どのスタジオでも万能で使いやすく、安定感のあるマイクは必要不可欠になります。Lewittはそれらの条件を全てクリアしています。それにビンテージ・サウンドを無理にコピーしようとせず、良い音を追求している所も気に入っています。ほぼ毎日という頻度でレコーディングに使用させていただいてますが、私たちを始めクライアントの方々もそのサウンドにとても満足しています。まだLewittの世界を知らない方はぜひぜひ使ってみてください。新しい世界が広がるはずです。Lewittマイクに出会えて本当に良かったです。
MI:最後に今後の活動についてお知らせください。
RT:ミュージシャンとしては、これからも出来る限りは日本でもライブとかやりたいなと思っています。活動の方向性は、ライブのショーだけではなく、最近ポツポツ始めた トークショーやワークショップ的なものももっと精力的にやっていきたいなと思っています。ビヨンセと言えば、もちろん世界のトップクラスなわけですが、彼女だけではなくそこに集まるクリエイティブ・チームもまたみんな一流です。ありがたい事にも、そんな世界で仕事をさせてもらってきて学んだ事など、これからの若い日本のミュージシャンに微力ながら何か伝える事が出来たらと思っています。
MI:それは素晴らしいですね。日本のミュージシャン、アーティストに大きな刺激となります。プロデュース、制作ではいかがですか?
RT:私がというよりは、RIRO MUZIKとして色んな方のプロデュースや楽曲のアレンジ、ストリングスアレンジをやらせてもらっています。NYの素晴らしいアーティスト達と作品を作っていけたらと思っています。これからもNY Brooklyn「RIRO MUZIK」より色々と発信していきたいと思うので、どうぞよろしくお願い致します。
MI:ありがとうございます。ますますのご活躍を期待しています。
収録: 2015年8月
幼少の頃からピアノを始め、ヤマハを通じて6歳の時に作曲を始める。その後、佐賀北高校芸術家コース/音楽科、東京音楽大学器楽科卒業後、渡米。アメリカのバークリー音楽大学、プロフェッショナルミュージックメジャーにて卒業。卒業後はワーナーブラザーズレコーディングアーティスト、エリック・ベネットの全米ツアーに参加。その彼のツアー中にSonnyミュージックアーティスト、ビヨンセによるツアーバックバンドの為のオーディションの知らせを聞き、全米5都市によって開催された中NYのオーディションに合格、その後ファイナルまで残り、見事バンドの一員となる。それ以来ファーストキーボーディスト/アシスタント・ミュージカル・アレンジャーとして在籍、現在に至る。オーディションの時に受かったメンバーの中で現在残ってる唯一のオリジナルメンバー。4度に渡る彼女のワールドツアーではショーのアレンジに携わり、2009年のベガスでのショー“I am Yours”では、弦楽器楽団のアレンジメントを全て任される。数あるテレビ出演の中、2010年のアメリカのグラミー賞でも彼女の演目のアレンジに携わり、バンドとしても出演。同年5月、アメリカはホワイトハウスにて、オバマ大統領、メキシコ大統領の前にてビヨンセのバンドで招待演奏を果たす。その時もストリングスのアレンジに携わる。2013年には彼女と供に世界で1番の視聴率を誇るスーパーボウルのハーフタイムに出演。2013年から2014年にかけ、ビヨンセ” Mrs Carter Show”ワールドツアー、すぐ直後に彼女とJay-Zによる夫婦共演の”On the Run”ツアーに同行。2011年に佐賀銀行文化財団新人賞を受賞。これまでに共演した代表的なアーティストに、エリック・ベネット、ビヨンセ、Jay-Z、Destiny Child、Monica、Nicki Minaj、The Roots 等がいる。NYはBrooklynにあるRIRO MUZIK(レコーディングスタジオ)のオーナーでもある。